第36話 陥落 ソロモンの雄
キシリアは惑った。シャアには、ララァをはじめとする新戦術の準備に尽かせている。
信頼できる部下はマ・クベしかいなかった。が、彼は戦略家ではなかった。ハロム少佐をつけて、ソロモンの援護にむかわせた。
が、これは間に合わず、ソロモンの陥落を目撃するための部隊になり下がるのだ。
ドズルの妻子を救出はするが・・・。
ガンダムタイプの陸戦隊”レンジャー”はそこここで肉弾戦を展開する中、アムロは、一人、ガンダムを馳せって基地深く潜入する。
作戦の要は、敵の主力を討つ!それは、ビグ・ザムとガンダムの対決という型となってあらわれた。カイのガンキャノンの援護、スレッガーのGパーツのが、ガンダムの盾となって、ビグ・ザムを討つ。
スレッガーは死に、ドズル中将は、生身の躰のまま、放り出された。
アムロは、そのドズルを討った。ガンダムで・・・。
なぜなら、ドズルは腰の重を抜きガンダムに襲いかかったからである。
その軍人の狂気は、コッツクピットにいるアムロにさえ伝わってきた。恐怖である。
ドズルは死んだ。
散発的に、ソロモンを後退した、ジオンの艦艇が、キシリアの基地のある”月”の方面へと逃亡する。
ここに、連邦軍が初めて勝利する大戦”ソロモンの戦い”が終わった。
ミライは、号泣した。スレッガーの死に・・・。
アムロは、ミライが好きになたっ。
第36話 補足
「ガンダムタイプの陸戦隊”レンジャー”」 GMの要塞攻略タイプのようなものではないか、と思われるが、結局明確に一目でGMのバリエーション・タイプが登場することはなかった。
第37話 バロムの罠
キシリア少将は、マ・クベが救出したドズルの忘れがたみをひきとると、マ・クベはバロムに、連邦軍の追撃部隊の殲滅を命じた。
マ・クベは、特注してあったモビル・スーツ”ハクジ”(剣技モビルスーツ)を受領する。
バロムは、面白くなかった。シャア大佐に会い、2人の間に謀議が成立した。マ・クベをなきものにするため、サイド4におびき出す作戦である。(勿論、シャアは、バロムにそれを感じさせないように、もちこむ。)
出撃していった、マ・クベ隊は、月をかすめつつあったWベースと接触をする。
バロムは、重巡チベをWベースの向け、サイド4を背景に戦いを挑む。
バロムは、宇宙突攻用モビル・スーツ”ドワッジ”数機で、強襲をかける。
Gパーツのどれかで発進したアムロらは。Wベースに直撃を受けさせてはならぬという条件のもとで戦う。作戦終了後、補給を受けていないWベースは、極力、戦いを避けねばならないからだ。
アムロとバロムの戦いは次第にサイド5に流されてゆく。(サイド5は一・二のコロニーを残して全滅している。)
一方、Wベースは、重巡チベとの交戦で危機に陥る。それを救出するのが、かつてのルナツーの基地指令ワッケインである。戦艦マゼランで・・・。
バロムはガンダムと交戦中、シャアとの約束を思い出した。
「これ程、早く約束が果たせるとはな。」
バロムの”ドワッジ”が、サイド5の”テキサス”に逃げ込む。かつて、大規模牧畜用に建設されたコロニーである。
戦前、牧畜と観光を兼ねて、作られたものである。アムロとバロムは、刺し違える形で戦いを終了した。ガンダムも損傷を受ける。が、サイドに空気があったのは幸いである。
アムロは、ため息を付いたものの、Wベースと、どう接触をとるか・・・。
その頃、シャアは、ララァと、エスパーの研究者、フラナガン博士を伴って、”テキサス”サイドに潜入していた。
・・・マ・クベの名誉挽回意識
第37話 補足
「バロム」 前話に登場したハロム少佐のこと。本編でもバロム少佐の名で登場したが、ドズルの妻子を救出を進言したのちには登場していない。シリーズ短縮のために削除されたものと想像される。
「ハクジ」 ギャンの元の名称。マ・クベがコレクションしていた白磁の壺から。用いたように思われる。
「ドワッジ」 リック・ドムの原名。後の「機動戦士ガンダムZZ」に登場するドムの最終形態とされたMSに、この名称が用いられている。
第38話 テキサスの攻防
シャアの目的は、単に、マクベを討つことではない。
ララァに、戦いを教えることであり、フラナガンに、ララァの能力を、モビルスーツに伝えるシステムを完成させることであるのだ。
サイド4の”テキサス”。その周辺は、ミノフスキー粒子が濃い。敵、味方の通り道故の宿命である。
アムロは、”テキサス”が無人の地ではないことに驚いた。遊牧民族的な生活をする人々が、生き残っているのである。
そこで、アムロは、カスバル・ベイリーと知り合う。ジオンに憎悪を燃やす少年である。17歳。彼の情報で、ザンジバル・タイプの戦艦がテキサスに入港している事を、アムロは知る。
ガンダム一機で殲滅できるか?アムロは、港に潜入した。
シャアは、マ・クベ隊に対して、『テキサスのガンダムを討つべきではないのか?私は討伐隊の命令を受けていないので、充分な戦力を持っていないのでな。』と、通信した。
再会である。シャアの!アムロの!
アムロは身震いをした。が、その感激(?)もつかの間、マ・クベが”テキサス”に到着した。
シャアの言をもっともとしたのである。
マ・クベは”ハクジ”に登場して、自ら、ガンダムと対峙する。
剣技の激突。
そして、シャアは、下がり、ララァに言う。
「よく見ておけ。白兵戦のあり方を。」
そして、両者の斗いの途上、シャアは、仕掛けたのだった。マ・クベを討つ仕掛けを。
”ハクジ”は、シャアの罠とガンダムの攻勢の中で、散っていった。
「私に似た俗物は、嫌いだ。」
カスバル・ベイリーは言う。アムロ、俺を連れていってくれ。いい軍人になる。
アムロは、微笑した。
「いいだろう。僕の隊長が承認するなら・・・・。けど、個人的な恨みなど、軍人になったからって、晴らせないよ。」
シャアは、ララァに言う。
「戦士になるのは、何故だと思う?戦いをなくすためになるのだ。」
そういうシャアに、ララァは心酔する。そして、自分の持つ能力が、新しい時代の人類の幕開けともなることを知るのだった。
「私の力を、シャアのために発揮して、新しい時代を見たい。」
フラナガン機関は、シャアの命令に従って”ニュータイプ”の人間のリスト・アップにかかり、電気的に能力の拡大を図るシステムの最終テストに入っていった。
第38話 補足
「ララァの能力」 富野監督がニュータイプという名称を発案したのは、放映開始からある程度経てからで(第9話のマチルダのセリフの中であなたはエスパーかも知れないという言い回しがされているのは、その為だと語られている。)だが、パート1に掲載した企画書の当時公表されなかった部分には「エスパーの導入による考察・・ラストメッセージに至るドラマとして、レギュラーの中にエスパーの導入もあり得る」(78年11月3日)とはっきり示されている。
「カスバル・べイリー」 本編には登場せず。他の部分に、アムロの部下になるとの記述があるため、もしも書かれていれば、後半部分のアムロの成長に大きく関係したのではないかと思われる。
「ギャン」 ゲルググの原名
「シャアの罠とガンダムの攻勢」 映像では、このような仕掛けは用いられず、ララァの感応によってニュータイプとして開花し始めたアムロによって倒された。
第39話 シャアとセイラ
三すくみといえた。Wベースとマゼラン。シャアのザンジバル。指揮官を失ったマ・クベ討伐隊。
キシリアは、シャアに、マ・クベ隊を統合する事を命ずる。
その隙をついてWベースは”テキサス”に潜入、ガンダムとアムロの救出を図る。
しかし、それは、シャアとその部下ジン・ライム曹長のモビルスーツ”ドワッジ”の妨害を受ける。
シャアは、ララァとソフィアを無事”テキサス”から脱出させなければならなかったが。が、これは、ワッケインのマゼランに妨害される。
この三つどもえの斗いの中、アムロは、シャアのモビルスーツを破壊することに成功する!!!”ギャン”の終焉である。
そして、”テキサス”の荒野を逃れるシャアは、アムロ救出隊の一人、セイラと出会う。やはり兄妹であったのだ。
シャア : 父がジオンを創ったのも、人類を救うためだった。
それを、ザビは、独裁国家にした。もう一つの理由は、父の味方だった人々を暗殺した。
セイラ : だからといって、あなた一人で、ザビ家に対しての恨みを晴らそうとして、何が残るの?
シャア : この戦争を早く終わらせることは出来る。ギレンという男は、用心深い男でな。私ごときでは、近づけんのだ。
セイラ : 本当のシャア・アズナブルという人。私は知っていたは。
シャア : 彼とて暗殺されたから、私が名前を貰った。
セイラ : ・・・・!? うそでしょ?
シャア : 木馬にいるのはやめろ。地球へ密入国できるくらいの金はおいていってやる。私のザンジバルが脱出するときに。
打倒、ガンダムの手段を選ぶわけにはゆかなくなっているのでな。
セイラ : それも、恨みで?
シャア : 違うのだ。男としての意地。プライドだ。・・・・もっと違うな。
ガンダムのパイロット・・・ア、アムロか?奴の意志が私を刺激する。ララァもそう言っていた・・・。
セイラ : ララァ?
シャア : ・・・・お金は受け取れ。地球へ戻るのだ。
とシャアは逃亡する。
この会話を途中から、ブライトが盗み聞きしてしまう。
アムロは、ガンダムで、ライム曹長の”ドワッジ”を殲滅したが、彼の防戦があったおかげで、シャアのザンジバルはテキサスを脱出した。
ワッケインはザンジバルの火力が、”マゼラン”の倍する事に舌をまいた。
セイラは、テキサスの港で、カスバル・ベイリーが見つけた小包を受け取るのだった。
シャアの残していった金であった。
裏書きには、セイラ・マス殿。中の便箋には唯一行”やさしきアルテイシア・ソム・ダイクンへ。 キャスバル・レム・ダイクンより愛を込めて”
ブライトは、立ちつくすセイラに声をかけた。
「セイラ!出港するぞ!」
その声にふと逡巡するセイラに、アムロはいう。
「怪我でもしたんですか?荷物持ちましょう。」
「あ、ありがとう。アムロ。」
アムロは、セイラの違う顔を見た。
ハヤトは怪我をして、フラウが大騒ぎする。
第39話 補足
「ジン・ライム曹長」 本編には登場しない。
「ソフィア」 フラナガン機関の事を示している。フラナガン・ブーンという人物も登場しており、それと重複を避けようとしていたのかも知れないが、詳細は不明。しかし当時、富野監督は、このソフィアという名前にかなり固執していたようである。
「シャアとセイラの会話」 本編とは微妙にシャアの発言のンニュアンスが異なっている。以下の本編のものを掲載するので、その相違を読みとって欲しい(一部省略)
シャア : 軍を抜けろといったはずだ!それが軍曹とはな・・・。
セイラ : 兄さんこそ、ジオンに入ってザビ家に復習しようなんて、やることが筋違いじゃなくて。
シャア : お前の兄が、その程度の男だと思っているのか?アルテイシア。
シャア : ジンバ・ラルの教えてくれたことは、本当のことかも知れん。あの爺やの口癖だったろう・・・・。
ジンバ・ラルの言葉 (省略)
シャア : ジオンに入国したのも、ザビ家に近づきたかったからだ。
しかしなぁアルテイシア、私だって、それから少しは大人になった。
ザビ家を連邦が倒すだけでは、人類の真の平和は得られないと悟ったのだ。
セイラ : なぜ?
シャア : ニュータイプの発生だ。
セイラ : アムロがニュータイプだから?
シャア : うむ・・・。そのニュータイプを敵にするのは面白くない。
今後は手段を選べなぬ、ということだ。
セイラ : ジンバ・ラルは、ニュータイプは人類が変わるべき、理想のタイプだと教えてくれたわ。
だったら・・・。キャスバル兄さん、何を考えているの!?
シャア : もう、手段を選べぬと言った。お前は地球に行って、一生をまっとうしろ。
私はもう、お前の知っている兄さんではない!
セイラ : に、兄さん・・・!
シャア : マスクをしている理由がわかるか・・・私は、過去を捨てたのだよ!!
「ハヤトが怪我をして、フラウが大騒ぎする」 エピソードの統廃合により、第35話の「ソロモン攻防戦」に組み込まれている。
第40話 シャリア・ブル 激進
ギレン・ザビは、木星から帰ってきたシャリア・ブルと謁見した。
「ガンダムというモビルスーツを使いこなす少年がいる、唯の兵士ではないようだ。君のような超能力的な、そう、ニュータイプの」
「戯れ言を・・・。私の能力なぞ、所詮、やや勘の良いことくらいで・・・。」
「まあいい。キシリアの部下にシャア・・・・大佐になったはずだ。奴が、ガンダムの情報に詳しい。奴の処に行って・・・・できたら、ガンダムのパイロットを調べてみてくれ。」
シャリア・ブルはモビルスーツ”ゲルググ”を与えて貰った。(ララァの使うものの前期タイプ。シャリア・ブルの予知能力を探知するシステムが搭載されている。)
ブライトは、生理的にセイラを拒否したかった。事もあろうに。ジオン創設者、ジオン・ズム・ダイクンの忘れがたみが、同じ乗組員にいるとは・・・。
セイラはさすがに沈みがちであった。アムロは、そんなセイラに、初めて興味を持った。
「何があったんですか?戦いが厭になったんですか?」
「・・・・そうね。厭ね、・・・・サイド7に来なければよかった、と、今になって思うわ。」
セイラも、アムロを対等な相手としてみるようになってきた。
「あなた、大人になってきたのね。何かしら?こう、するどすぎるくらいの少年・・・。大人ね。何が変わったの?」
「戦場なれでしょ?きっと・・・・。」
シャリア・ブルはララァとシャアに会った。彼は驚愕した。ララァの脳波を通じて、シャアの心が読めたのだ。
「ザビ家への怨念!?・・・どうするのだ!?ジオンを乗っ取ろうとする野心家・・・との思えぬが?」
シャリア・ブルにとって、ララァが超能者(ニュータイプ)として充分な戦力である事は判る。それを探し出したシャアの能力も判る。しかし、それは、ジオンにとって不吉である。
「ガンダムとそのパイロットは、ニュータイプなのか!?」
シャリア・ブルの”ゲルググ”は発進する。シャリア・ブルは、あっという間に、マゼランを葬り、ブライト、アムロらは(セイラの事に、心を奪われていたのだろう)その防御にまわりきれなかった。(ワッケインの死)
Gスカイからの高速な、ガンダムへの変化はシャリア・ブルにとっては、隙をつかれる原因であった。
そして、ゲルググ、とガンダムの戦斗は、熾烈を極めた。アムロは戦士として初めて錯乱した。
心をえぐる様な斗いに、アムロは、全く異なった人間を”ゲルググ”の中にみた!
アムロの予知能力ともいうべきものに、感応の目覚めが起こったのだ。アムロは、ニュータイプの種になった時、それらの意志を消すという戦術に出て”ゲルググ”を倒した。
ララァは、その斗いを見て、シャアに言う。
「敵にしてはならない人です。けれど戦いの中で、私は、もっと成長したい。シャア、あなたのお役に立てるように・・・・。
「勝てるかな?」
「判りません。エルメスの完成を急がせてください。私には、あの少年の意志の力を越える自信はあります。
第40話 補足
「ゲルググ」 ブラウ・ブロの最初の名称。サイコミュ(サイコ・コミュニケーターの略)という名前も登場していないが、その基本的な位置づけは完了している。
「大人ね。何か変わったの?」 実際に放映された本編でも、若干の似たような会話がアムロとセイラの間で交わされているが、シリーズが短縮されたことによる人間関係描写での最も大きな変更が、この二人の間柄のようにも思われる。小説版でのすたりの親密な関係は、それを補う意味もあったのかも知れない。
「ワッケインの死」 このエピソードもシリーズ短縮のために、他の数話(第38話)に組み込まれている。
「それらの意志を消すという戦術」 ニュータイプが持つ先読みの能力を逆手に取った先方だが、後のガンダムシリーズでも、明確にこの手法を用いるに至った者は見受けられない、本編でも、純粋にアムロの能力がシャリア・ブルのそれを上回った、という形で決着している。