第51話 ジオン殲滅 パート1
瀕死のシャア。ジオンの首都に帰る。
「残念だな?こうなっては、親の仇も討てぬ。むしろ私が君の胸に剣を刺すこともできるのだが、まあ、やめとこう。むごい事はな。」
「さ、さすが総帥・・・・。今さら、仇討ちもない。私は、敵たる人物、アムロに興味を持ちますので・・・・。」
「ア、アムロ?」
「そう。あなたを討つのは、彼ですから。」
「やめたまえ。まるで、ニュータイプのような口の利き方をする。もう、連邦には、ろくな戦力もない。ジオンは、勝利したに等しい。まして、ソーラ・レイ・システムは、金もかからず短期間で造れる。君のアイデアは、真に二階級特進ものだ。中将にしてやるよ。シャア。君をな!?」
シャアは、己にミスがあったとすれば、ソーラ・レイのアイデアをギレンに語った事だと思う。
たった数隻の艦隊が、ジオンの中心に向かう。
レビルの最後に発した命令の実行である。
「総攻撃」
ソーラ・レイに直撃される直前の命令であった。
アムロも逡巡していなかった。今は、判るのである。
目の前の敵が敵なのではない。国家の指揮者たる者を討たねば、戦いは終わらぬのだ。
ギレン討つべし。
厚い包囲網は、すでに新型モビルスーツのでる余地はなかった。そのかわりに、数は、絶大に多かった。
ギレンも、遂にグワジンで出撃する。
なぜなら、連邦軍には、もう一握りの戦力しかない。
これを自らの指揮のもとに倒し、ザビ家一党の力を示す。全ての人類に対して、この強権を示すことは、今後の、階級制確立のための重要な意味を持つのだ。
文官に、何が出来る。市民に何の権力があるのか?と、いえる。
全て、ザビから発した力であると!
激戦の末、Wベース一艦、ついに、グワジンに接触をする。
そして、もつれ、もつれて、要塞都市、ア・バオア・クーへ移った。
ガンダムとて、すでにボロボロであった。
無数といえる艦隊を沈め、ア・バオア・クーへとたどりついた。
「お前達は、やめろ!敵は、一人だ、ギレンだけなんだ」とアムロは絶叫しつづけた。
カスバル・ベイリー。アムロのとっての、真の意味での部下は、ここで死ぬ。
アムロは、いろんな意味で、彼の上司としての責任を感じて・・・・。
第51話 補足
「あなたを討つのは、彼ですから」 映像ではシャアがアムロに対して「私の同士になれ!」と語っているが、ここではシャアの側からアムロに近づく発言をしている。
「敵は、一人だ、ギレンだけなんだ!」 思惟の流れを読むことができる、ニュータイプならではの言葉。それは映像においても、第36話の悪意を放出するドズルや、最終回のアムロの「今の僕になら、本当の敵を倒せるかも知れないはずだ」というせりふにもあらわれている。
最終回 ジオン殲滅 パート2
ア・バオア・クー。要塞基地であると同時に、軍事工廠のおかれているサイドである。
ギレンは、逃げ込む形となった。が、これは、たかが一隻、たかが一機のモビルスーツによって引きおこされた事態とは認め難かった。
「ニュータイプを、甘くみすぎた。」
これが、ギレンの思いであった。
シャアは、重態をおして慣性宇宙艇で、ア・バオア・クーへ向かう。
「二階級特進。この科白、気に入らんね。」
シャアのギレンへの思いである。
Wベースは、大破して、各員は、ゲリラ戦にまきこまれた。
ガンダムは、ア・バオア・クーの最後の防衛網”ギガン(モビル・スーツと地上砲台ののあいの子)”を撃ち倒して大破する。
動かせないことはないのだが、コックピットはむき出し。四方から躍りかかるギレンの親衛隊の前に、アムロは拳銃一丁の闘いとなる。
そして、生身の体の悲しさ。アムロは傷つく。しかし、
「ギレンは倒さなくてはならぬ!・・・・ならない!・・・・真の悪を倒さねば、・・・・いけない・・・・!」
その思い、絶叫は、そう、アムロ、一人のものではなかった。
アムロは、走る。
と、傍らを、シャアが走っていた。
「君との決着は、後だ。」
ああ!シャアが走れる!なぜだ!
ブライトが叫んでいる。
「ギレンはここだ!」
と。
ドアをうち破る。
ブライトが倒れる。(致命傷ではない)
そして、セイラが、ミライが走る。
「倒さねばならぬ!」
それは、アムロ、お前の声ではない。
「ア、ム、ロ。でしたね。アムロ・・・・!遊びたいわ。アムロ。・・・・あなたと見た、未来なら・・・・アムロ・・・・あなたと・・・・」
「遊ぶために戦うのか?ララァ!?」
それは、愚問だ!それで、いいではないのか?アムロ。と、彼は、自分に言いきかせる。
ララァの調和。
今、セイラ、ミライ、アムロの三人は、ララァの声をきく。
しかし、ギレンの親衛隊は、次々に、彼等を倒す。シャアも、セイラも、ミライも!
そして、
「ギレン・ザビか!?」
「ア、アムロ・レイ。ニュータイプだとはな。」
「そうだ。」
「しかし、もう遅い。このア・バオア・クーは自爆する。」
「一分三〇秒後にか?」
「よく判るな。ニュータイプ・・・・。」
アムロは、ギレン・ザビを撃った。同時に親衛隊の銃撃もアムロを襲う。
「ギレン・ザビは死んだのだ!僕を殺して何になるのか?逃げろ!全力を尽くして逃げろ!ア・バオア・クーは爆発をする。」
どうと倒れるアムロ。
その中で、ララァが呼びかける。
「ア、ム、ロ。行こうよ。新しい時代が、開けるんだから。」
「ああ・・・・行けるかな。ララァ・・・・。み、みんなが、苦しんでいる。」
「教えてあげられるでしょう?アムロなら・・・・。みんなに・・・・。」
「・・・・そ、そうだ。僕と、ララァで見たもの・・・・みんなに見せてあげなければ、ならない。」
破壊されたガンダムにたどりつくアムロ。
「眼を開けてごらん。意識を開いてごらんよ。みんなが、みえるよ。」
アムロは、言われるままにした。
あ、
みえる。煙の中の、仲間達が。
「ブライトさん!右に出れば、Wベースです。ア・バオア・クーを脱出するんです。」
ブライトは、自分が何の力で気づいたのかは知らなかった。ただ、Wベースへ戻らねばと、思い、そうした。・・・・そう、出来た。
「ミライさん!早く!上へあがって!」
ミライは、なぜ自分が煙のうずまく中で、気づいたのか知らなかった。アムロが、叫んだのかも知れないとは思いつつ、タラップをのぼる。
「フラウ!フラウ!僕の好きなフラウ!頑張ってくれ。Wベースへ戻るんだ。」
フラウは元気なった。
「カツ、レツ、キッカ!さ!起って!」
「カイさん、ハヤトさん!死んじゃうぞ!起つんだ!起ってくれ!」
カイとハヤトは立つ!走る!
「リュウさん!大丈夫ですよね。」
セイラは目覚める。目の前に、シャアがいる。いや、キャスバル兄さんがいる。
「アムロが呼んでくれた。行けるか?アルテイシア?」
「兄さん!」
「私は無理だ。お前だけ、行けい!行きのびろ!」
「そ、そんな!・・・・い、いえ、そ、そうね。行くわ。兄さん。」
「ああ・・・・アムロに伝えてくれ。いい少年だと・・・・」
「は、はい!」
「・・・・アルテイシア・・・・。」
「いい、・・・・女になれよ。」
「!」
「・・・・。」
「アルテイシア・・・・愛している。」
セイラ、いや、アルテイシア・ダイクンは走った!
「みんな、Wべーすにつけるよ。あむろ」
「判るよ。ララァ。僕は着けるかな?」
「私もいる。着ける。」
ギガンの最後の末梢神経ともいうべき”系”を、ガンダムは、ぶっち切る。
「ララァ。君は、どんな女の子なんだ。」
「これから、もっと判るよ。アムロ。」
「そ、そうだね。」
ガンダムは翔んだ。ボロボロのWベースから、声にならぬ歓声が上がる。
全員脱出できたのだ。ア・バオア・クーは、爆発した。
脱した。この仲間たちは、今、ララァの意志とアムロの意志とが見た、新しい世紀へ向けて、出発をする。
人は、”種”の変改期を迎えつつあるのだ。
アムロは、混濁する意識の中で、言った。
宇宙世紀0080。一月三日。
地球連邦とジオン共和国との間に、和平交渉が成立した。
最終話 補足
「ギガン」 登場せず。
「ジオン共和国」 すでにこの時点でジオン公国は共和制に移行して終戦を迎えることになっている。
「人は”種”の変化期を迎えつつあるのだ。」 ニュータイプへの脱皮を示しているが、富野監督のメモの中には、すでに放映開始前の78年10月30日付けで、以下のようなものが残されている。これは、言葉としては語られていないし、またその必要もないのだが、あのラストシーンに含まれてる意味を、明確に示したものである。
「ラスト・メッセージ(シャリア・ブルの手紙)」
「人類は未開だ。何もしないでは、いられない。無の心で、宇宙を、世界を見守るほどに、豊かではない。
人類には、未だ、戦いという遊技が必要なのだ。
知も理も、その混沌から生まれる。人類は、今、知と理そのものの、鍛えの時代なのだ。
我々は前人類といえよう。が、今や、我々の精神は拡散しきっている。紀元前にあったように、人類に教え伝えることはできぬ。
伝習の時代は終わった。
もはや、人類は、己の力で、高めねばならない。
太陽の輝きが、銀河系をのみ込むまでに、成長せねばならぬ。宇宙は、新たな精神をモチーフにしている。
もはや、時はない。あと300億年もない・・・。」
< 完 >